海街diary完結。吉田秋生作品の魅力はスターシステム

当サイトはアフィリエイト広告を利用しています
鎌倉高校前の踏切

月刊flowersで不定期連載されていた、吉田秋生先生の海街diaryが、2018年6月28日ごろに発売された月刊flowers 2018年8月号最終回を迎えましたが、2018年9月28日に発売された11月号に、番外編「通り雨のあとに」が掲載されました。

この番外編で海街ダイアリーは完結!というコメントが載っていましたが、これがとっても良いお話で、何度も読み返しました。4姉妹は身勝手な大人の都合に振り回されましたが、ここにもダメな大人のせいで、もっと辛い経験をした子がいたんだな…と

コミックは2018年12月10日頃に、最終巻の9巻が出る予定になっているので、恐らくこの番外編も掲載されるのではないかと思われます。月刊flowers11月号が読めなかった人は、コミックでご覧になってください。

「海街diary」の本編は、鎌倉に住む社会人の3人姉妹が、他の女性と再婚していた父の葬儀で、腹違いの中学生の妹(すず)と出会い、鎌倉で4人で暮らし始め、その妹が女子サッカーの特待生として県外の高校に進学するために、鎌倉から旅立って行くまでの2年半が描かれているのですが、連載開始から12年も経っていたことに驚きました。

連載開始当初は、静かで地味目なストーリーだと思っていたけれど、心に響くセリフも多くて、4姉妹の行方が気になりながら次のストーリーを心待ちにしている間に、12年が経過していたようです。

その間にマンガ大賞、小学館漫画賞を受賞し、映画化され、舞台化もされ、気が付いたら吉田先生の代表作のひとつになっていました。

最終回を迎え、これで4姉妹とお別れだと思うととても寂しく、海街ロスに…と言うより、吉田先生の次の作品が果たしていつ読めるのか…という吉田ロスに陥っていたのですが、番外編を読んだところ、小さな光を感じたのでした。

※2018年12月10日更新。

最終巻の9巻が発売されました。義弟・和樹の“その後”を描いた番外編「通り雨のあとに」も収録されていました ↓

番外編から新しいストーリーが始まるのか!?

番外編「通り雨のあとに」は、主人公のすずが高校に進学してから10年後の話で、”十三回忌を機に、父の墓を鎌倉に移す”という河鹿沢でのストーリーで、すずの(元?)義弟にスポットを当てた話だったのですが、「もしかして先生は、ここから繋がる新しいストーリーを作ろうとしておられる??」と、ふと、そんな予感がしました。

番外編「通り雨のあとに」は、「YASHA-夜叉-」から「イヴの眠り」に移る際の、「魂送り(マブイウクリ)」という物語と、よく似ている気がしたのです。

YASHA連載終了の数か月後に「魂送り」が掲載され、更に数か月後にもう一つのYASHA番外編「ハウメアの娘」を挟んで、その半年後くらいに「イヴの眠り」の連載がスタートしました。

「YASHA-夜叉-」の番外編の中に、「イヴの眠り」の登場人物を入れて、二つの物語は自然な感じで繋がっていったのです。

※「魂送り」「ハウメアの娘」は「イヴの眠り」の1巻に掲載されています。

※「イヴの眠り 文庫版 」には、「魂送り」「ハウメアの娘」の他に、コミックには入っていない外伝「真南風(マハエ)」が入っていますので、今から買われるなら文庫版 が良いと思います。


ちなみに、番外編が掲載されているflowers11月号には、そのような新しい連載に関する情報は、一切書かれていないので、ただの私の気のせいかもしれませんが…

でも、この話の続きををもっと読ませてほしいと思いました。

新連載とまではいかなくても、これまでもちょこちょこ過去の作品のキャラクターを登場させて来られた吉田先生ですし、かなり前の対談で「鎌倉3部作を書く!」とも仰ってたので(1部はラヴァーズ・キス 、2部は海街diary)、少し時間を置いてからでも、またいつかどこかで、鎌倉の4姉妹や番外編の登場人物たちに再び出会える日が訪れることを願いつつ、先生がペンを執ってくださるその日を、じっと黙って待ちたいと思います。

※2019年7月更新

な、なんと!

予想通り、番外編「通り雨のあとに」に続くストーリー「詩歌川百景(うたがわひゃっけい)」が、2019年7月から新連載されることが発表されました~。

きゃ~~~!嬉しい

吉田秋生先生の作品との出会い

吉田秋生先生の作品との出会いは、「BANANA FISH(バナナフィッシュ)」のコミックが8巻くらいまで出ていた頃でした。

25年以上前の平成1、2年ごろだと思いますが、偶然、友達の家の本棚に並んでいたものを手に取ったのが始まりです。黄色が妙に目立っていたので。読み進めるうちに一気にはまってしまって、自分もコミックを集め始め、そこからは先生の新刊が出るたびに1冊1冊集めて今に至ります。

“「BANANA FISH」が終わるのは、アッシュが死ぬときだろう” と予想はしていましたが、物語の中の人物なのに、本当に亡くなったかのように思えて、連載が終わった後は寂しくて、心にぽっかり穴が開いたようになったことを覚えています。

漫画であんなに引き込まれたのは生まれて始めてで、そこから先生の新作と一緒に歳を重ねてきました。

そんな「BANANA FISH」が、最近(2018年7月~)TVアニメになりましたが、先生と出会った記念の作品が、今の若い人にも見てもらえるようになったことは、とても喜ばしいことです。

映像化にはいつもガッカリさせられることが多いものですが、原作の重要な場面が忠実に描かれており、長年の原作ファンから見ても素晴らしい作品に仕上がっていると感じました。調べると、アニメのプロデューサーさんが原作の大ファンだとか!なるほど納得!アニメ化してくださって本当にありがとうって感じです♪

この本編の続き(番外編)もアニメで制作してくれないものだろうか…

アニメをきっかけに、ぜひ原作も手に取って頂きたいと思います。


https://bananafish.tv/

TVアニメ版は、DVDにもなりました↓

吉田秋生作品の魅力はスターシステム

私は人見知りなので、小説でも漫画でも、なかなか新しい作家さんの作品を手に取ることはありません。月刊や週刊の漫画雑誌は処分が面倒なのと、いろんな作品がごった煮になっているのが嫌いで、基本買いませんし、何でもかんでも読むタイプではないのです。

話題になっている本や、映画やドラマをきっかけに原作本を読むことはたまにありますが、大抵読むのは1つの作品だけで、吉田先生の時のように、「全ての作品に触れたい!」と衝動的になったことはありません。

こんな風に思ったのは、私の人生では吉田秋生先生と小田和正さんだけなのです。

先ほど「イヴの眠り」のところでも書きましたが、吉田先生の作品には、過去の作品のキャラクターをちょいちょい登場させる『スター・システム』が頻繁に使われているため、すんなりと違和感なく、新しい物語に入りやすいのです。

知ってる人がいると、安心というか、安全というか…そんな感じなのです。

そして、新しい作品の中で、知ってるキャラが再び登場するのでは?という、ワクワク感もあります。

漫画などで、同一の作家が同じ絵柄のキャラクターをあたかも俳優のように扱い、異なる作品中に様々な役柄で登場させるような表現スタイルも、スター・システムと呼ぶようになった。日本の漫画分野で初めてこの手法を用いたのは手塚治虫であり、彼が複数の作品のなかで、自らの友人や友人の祖父、さらには実の妹が描いたキャラクターを登場させたことに始まるとされている。 

Wikipediaより引用させて頂きました。

キャラクターをかぶらせることについては、「新しいキャラクターを作るのがあまり得意じゃないから」と吉田秋生先生ご自身がどこかで仰っていたのを記憶していますが、絶対にこれが次の作品も読みたくなる理由のひとつだと私は思っています。

海街diary」も「ラヴァーズ・キス」とキャラがかなり被っていますが、「BANANA FISH」の奥村英二や伊部さんも、過去の作品「Fly boy,in the sky」に登場していたキャラクターで、再びキャスティングされました。

YASHA-夜叉-」に「BANANA FISH」のシン・スウ・リンが出てきた時は、

キタ━(゚∀゚)━!

という感じで最高にうれしかったですし、「イヴの眠り」にも登場していました。他にも「BANANA FISH」のジェンキンス警部やチャーリー刑事は、「カリフォルニア物語」でも登場していましたし、被っているキャラがたくさんあるのです。

過去の作品を読み返してみることで、気付かなかったルーツがもっと隠れているかもしれません。

思えば、吉田秋生先生の作品を年代順に読んだことがなかったので、この機会に、もう一度全部読み返してみようと思います。

以上、またファンの勝手な想いを書いたへたくそな文章を、最後までお読みいただきありがとうございました。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加