親知らずの抜歯入院・手術(埋伏智歯抜歯手術)ついでに他の親知らずも抜歯したら顔に麻痺が出た話

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歯科治療

2021年5月に主人が”親知らず”と呼ばれる奥歯を3本同時に抜くために、2泊3日の入院・手術をしましたので、それについて書いてみます。

一般の歯科では抜歯できないような「親知らず」を、大病院の口腔外科で難抜歯手術する際に、「もともと不要な歯だから」とか、「残しておいても後々虫歯になると厄介なことになる可能性があるから」という理由で、ついでに他の親知らずも一緒に抜くことを勧められることがありますが、果たして歯科医の勧められるがままに抜いてしまった方が良いのか迷うことがあると思います。

うちの主人の場合、3本の親知らずのうちの1本が1年ほど前から時々うずくようになり、「外からはわからないけれど埋まっている部分が虫歯になっている可能性が高いが、半分歯ぐきに埋まっているのでここでは抜けないから、〇〇病院で入院・手術になります」と言われ、「他の2本は今のところ虫歯ではないけれど、将来的に虫歯になると同じように厄介な状態になるので、この際まとめて抜いちゃってもいいかもしれません」ということでした。

虫歯になっていない智歯も同時に抜くかどうかは本人に委ねられましたが、ネットを検索すると一緒に抜いちゃった方がいい!と書いてある記事がほとんどだったので、「将来的にどうなるかどうかはわからないけれど、何回も手術を受けるよりも若いうちに1回で済ませて不安材料を失くした方がいいんじゃね?」ということで、3本抜いちゃうことを決意しました。

人によっては1本ずつ何日かに分けて抜くことがあるようですが、主人の場合はそのような選択肢はなく、2泊3日で入院し、全身麻酔で3本同時に抜く手術を受けることになりました。

しかし、1本だけ抜くよりは、2本、3本、4本と増えればそれだけ傷も増えるわけで、術後は痛みも酷くなるし、腫れもひどくなるし、完治するまでの時間も長くなるし、合併症などのそれなりのリスクも生じるわけです。

本当に手術が必要だった歯は何の問題もなく手術できたのですが、ついでに抜いた2本のうちの1本が下の歯で、これが完全に歯ぐきの中に埋まっていたため、かなり深いところまでメスを入れたことで歯ぐきの中の神経にまで影響が出てしまったらしく頬に痺れが残り、片側の頬の感覚が鈍くなくなってしまいました。

手術後10日経っても一番のピークを10とするとまだ7くらいの状態で、外来で歯ぐきに注射をしたり、飲み薬を飲んで神経を回復させる治療を行っている次第です。

手術後2週間経過しても、片側の口角~あごにかけての痺れは取れず、ご飯粒が唇にくっついていても気が付かないし、口の中の感覚も鈍く、歯に食べ物のカスが挟まっていてもすぐにはわからないのだとか。なんか変な感じするなぁと鏡を覗いてみるとモノが挟まっている、という具合です。

私のこれまでの経験では、大きい病院で手術をすると術後1週間後に外来で診てもらって、大抵はこっちはまだ不安な状態でもあっさりかかりつけ医に戻されることが多いのに、何度も外来に通わされているところをみると、術後の経過はあまり良くないのではないかと推察します。

先生は精いっぱいやってくれているのだとは思いますが、治療を行っても最終的には自分の回復力にかかっているわけで、神経は爪のようにすぐに伸びる性質のものではないらしく、ある程度時間が経過しないことには結果はわかりませんが、一番怖いのは麻痺が一生残ってしまうことであり、そうならないように祈るしかありません。

手術前の説明・同意書を見ると、合併症の可能性についての記載はされていますし、医師から一通りの説明は受けたらしいのですが、主人は深く調べもせずに”ついで抜き”を決めてしまったことを後悔していて、「こんなことなら手術するんじゃなかった…」と沈んでいます。

私も、「たかが親知らずを抜くだけ」と軽んじていましたが、やっぱり手術は手術、それなりのリスクはつきものなのです。

将来の病を予防するために行った治療だったはずが逆にそのせいで具合が悪くなるなんてね…コロナになりたくないから予防接種をしたのに逆にそれが原因で健康被害になるようなもんかな…夫婦で相談して手術を決断したもののやっぱり悔やまれます。

結果的に術後半年ほど薬を飲み続けることで症状はかなり改善されましたが、これから手術するはよく考えてから決めてほしいと思います。

親知らずをついでに抜くことのメリット・デメリット

全身麻酔で手術できた

昔、祖母が主人と同じ病院で1週間ほど入院して、部分麻酔(局所麻酔)で1本だけ抜いたのですが、方顎から頬のあたりまで殴られたようなすごい青あざができていました。相当強い力で抑えつけられたのでしょう…

麻酔が掛かっているので痛さは感じないものの、手術中の歯科医師の舌打ちや荒い息遣いなどで、ものすごい強い力が掛けられている様子が近距離でもろに伝わるため、今まで生きてきて一番怖かったと泣いていました。

この時に「意識のある状態での歯科手術は恐怖」と私の心に植え付けられましたから、主人はどうなんだろうとドキドキしましたが、全身麻酔での手術と言われホッとしました。1本だけという選択をしたならばもしかすると部分麻酔だったかもしません。

とは言え、手術中の怖い思いは回避できたものの、局所麻酔のほうが手術の安全のリスクは下がる気もしますし、これがメリットかメリットかはどうなんでしょうね。わかりません。

抜いてみたら虫歯だった

ついでに抜いた2本については、術前の診断で虫歯は確認されなかったのですが、抜いてみたら1本は虫歯になっていました。

結局は抜いてみないと分からなかったので、1本しか抜かない選択をしていたら虫歯が放置されて、いずれは化膿したのかもしれません。

これは3本全部抜いて初めてわかったことなのでメリットと言えるでしょう。

あらゆるリスクが倍増する

3本同時に手術すれば、当然ながら傷口も3ヶ所できるわけで、様々なリスクも3倍なのです。

手術が片側だけなら反対側の歯では噛めますし、顔の腫れも片側だけで済みます。しかし、左右両方を手術した場合は、普通の食事がとれるようになるまでに時間が掛かりますし、両方の頬が腫れるので顔の見た目も大きく変わります。

合併症のリスクも倍増します。

同意書を見ると、術後疼痛、頬部腫脹、開口障害、異常出血、皮下血腫、感染、創部瘢痕形成・違和感・知覚異常、発熱、下歯槽神経知覚異常、舌神経知覚異常、口角炎、口内炎の可能性があると書かれていますが、たくさん抜けばそれだけリスクも増えるということです。

主人の場合は、右下は完全に埋まっていたためにかなり深くまでメスを入れたらしく、上下とも抜いた左側の痛みや腫れよりも、1本しか抜いていない右側の方が傷も大きく治りも遅いと感じるそうですから、抜く本数の問題だけではないようです。

困ったことに右側のしびれが術後1週間経過しても治る気配がないため、外来で相談したところ、深いところに埋まっている場合は神経に近いため、手術の際に神経に傷を付けた可能性があるかもしれないとのこと。

神経を修復する薬を処方してはくれたものの、神経の修復には時間がかかる上に、時間が経っても完全には治らないこともあると言われ、ガーン。

今となっては、痛くもなく虫歯の可能性も低い完全に埋まっている歯を、わざわざリスクを冒してまで取る必要はなかったのかも・・・と言う気がしてなりません。(あくまでも素人考えですが)

手術前の智歯(親知らず)の状態

医師からもらった手術説明書によると、主人の病状は、左上顎・右下顎・左下顎の3ヶ所が埋伏智歯(水平・完全・半)智歯周囲炎なので、智歯抜歯が必要とのことでした。

親知らずの抜歯手術は医療保険適用か?

主人は外資系の生命保険に加入しているのですが、入院は5日目からしか出ないため、3日間の入院では0円でしたが、「抜歯手術(埋伏歯)」は支払いの対象になるようで、手術給付倍率20倍で5,000円×20倍=10万円の給付が受けらました。

虫歯ではない親知らずを同時に抜いても保険が適用になるのか疑問でしたが、1本が埋伏歯であれば(会計の明細書に「埋伏歯の抜歯手術」という記載があれば)良いとのことでした。わざわざ医師に診断書を書いてもらわなくてもいいのは楽でした。

※もちろん健康保険も全額対象でした。

親知らずの抜歯手術(埋伏智歯)でかかった費用

  • 紹介状をもらって行った最初の診察:7,000円
  • 術前検査でもう1回診察:4,000円
  • 2泊3日の入院で支払った医療費:71,000円
  • 術後通院:半年間通って10,000円ほど

10万円で十分賄えますが、合併症の治療が長引けばそれだけ費用も嵩むので、これ以上かかる可能性はあります。

埋伏智歯抜歯手術の入院~退院後の様子

手術前日

14時に入院し、夕食は普通食。

手術当日

3食抜き、飲み物も朝8時まで、その後は口をゆすぐのも禁止。

13時より手術、1時間から長くても2時間以内で終わると言われ、何時間かかったのかはわからないけれど、気が付いたら病室のベッドに戻っていて、とにかく口が痛かったそう。

腫れはほとんどなし、明日以降に腫れると言われたらしい。痛かったら我慢せずに痛み止めを(飲めるなら)飲んでと言われ、ずっと飲んでいたので痛みは感じなかったが、血が少し滲むため喉に絡んで夜中に何度か起きる。

手術後1日目

朝食が出る、メニューはおかゆなど、お腹が減っていたので全部食べる。医師の診察を受けて、何も問題なかったので11時に退院。

抜いた歯を持って帰ってきたのですが、1本は虫歯で真っ黒になっていて、これは痛いはずだと納得。

3本も抜歯したので、おむすびみたいな顔で帰ってくるのかと思えば、昔の宍戸錠くらいの腫れだったので拍子抜け。

右頬が広範囲にしびれている口が少し開けにくいようだが、痛み止めを飲んでいるお陰か会話は普段通り。食欲も旺盛。念のため「inゼリー」を買っておいたのだが、ごはん、うどん、湯豆腐、キウイ、バナナ、焼き芋など柔らかいものなら普通に食べることができる。葉野菜は茹でても強くすりつぶすことができなくて食べにくい。お酒はしばらく禁止。

ほぼ普段通りの生活ができて、午後からはずっとゲームをしていた。

まだ少し血が出ているようで、夜中に何度か起きてティッシュに唾を出したり、うがいをしに起きていた。

手術後2日目

朝、37度くらいの微熱

顔の腫れが酷くなってきた。顔と首の境目のくびれがなくなっている感じ。ますます口が開きにくくなったが痛み止めのお陰か痛みはない。痛みよりも右頬が痺れて感覚が戻らないのが気になるよう。食欲はあるのでうどん、キウイ、卵豆腐などを食べる。

朝から普通に仕事に行った(デスクワーク)。昼食は帰宅して雑炊を食べてまた仕事に戻る。

手術後3日目

熱はなし。

顔の腫れ、痺れは変わらず。

普通に仕事、食事は噛むと顎が異常に疲れるからと柔らかいものばかり食べる。

手術後4日目

腫れはだいぶんひいてきたが、右側がまだ腫れている。痺れは変わらず。

日中は前日と変わらなかったが、夜中に左側の頭~耳の後ろかけて激しい痛みが起こり目が覚める。これまで何ともなかったのにこんな痛みは初めてらしい。急いで痛み止めを飲む。しばらくすると治まりそのまま眠る。

手術後5日目

夕方、左側にまた同じような激しい痛みが起こる。6時間経つと痛み止めの効果が切れるよう。痛み止めを持って出るのを忘れてしまい、痛みに耐えられず仕事を早退してくる。痛み止めを飲んでしばらく横になって休むと治まる。2回続けて起こった痛みがとんでもなく激しいので、怖くて痛み止めを切らせなくなる。

手術後1週間

外来を受診。激しい痛みが起こったことを訴えたら、原因を探るために脳外科の診察を受けるが異常なし。

痺れが治らないことも訴えると、深い位置にあった歯を手術したため神経を触っている可能性を初めて説明される。まだ腫れは完全にひいてはいないので、腫れが神経に接触していることが原因なら腫れがひけば改善するかもしれないが、神経に傷が付いているのかもしれないから神経を修復させる薬を飲んで回復を待つ。すぐには回復しない、ある程度の時間が必要。もしかすると痺れがずっと残る可能性もあるそう。

手術後10日後

再び外来を受診。歯ぐきに注射したり薬を塗ったりする。

右の口角付近~あごにかけての痺れが特に改善しない。

チキン南蛮程度の硬さの肉は食べられるが、奥歯でギューッと噛むような硬い肉や、繊維のあるキャベツなどの野菜は生はもちろん、加熱しても食べられない。これは痛みがあって食べられないというわけではなく、うまく噛めない、口の中を噛んでしまう、噛むとあごが疲れるということらしい。たった1週間やそこらで噛むことが苦痛になるほど筋肉が衰えるのだろうか??

手術のために3日間会社を休んだため、その後は外来を受診するとき以外休みは取れていない。ブラック企業だから普段から10日に1度休めれば良い方なので、その分の仕事を取り戻すために苦痛を我慢しながら仕事に行っている。好きなお酒もずっと飲めず、食いしん坊なのに食べたいものも食べられず、かわいそうでならない。安易に手術に同意したことを後悔する毎日だ。

手術後15日後

外来を受診。

症状はほとんど変化なし。痛みはないが、相変わらずの痺れ。あごの付近を外側から触るとまだ内側が腫れていることがわかる。

飲み薬を続けるようにとのこと。

夜中の激しい痛みが怖くてずっと痛み止めを飲んでいたが、ここでやめるように言われる。やめてみたが痛みは起きなかった。左側は治ってきているよう。ホッ

この数日後から晩酌を再開。焼肉などはまだ食べられないが、徐々に普通の食事に戻ってきた。ラーメンは楽においしく食べられるようで、ラーメンばかり食べている。

手術20日後

外来を受診。

手術した部分の周辺の腫れはほぼひいた。傷も順調に治っているとのこと。

唇の感覚が少し戻ってきた気がするそう、頬を外側から触ったら感じるようになる。以前は触っても感覚がなかったので少しはマシになってきているよう。

ただ、口角~あごにかけての痺れに関してはあまり変化なし。本人はしびれに慣れてきたと言っているが、”慣れ”ではなく治ってくれているならよいのだが。とりあえず神経の修復には時間が必要なので、修復する薬を飲み続けて経過を見ていくしかないとのこと。

間隔をあけて受診してくださいとのことで、次は1ケ月後。

手術後1ケ月

食事は少々硬い肉でも何でも食べられるようになりました。

痛みも全くなし。かなり元気になって日常生活に戻っています。

ただ、抜歯跡にぽっかりと穴が空いているため、そこに食べカスが詰まるのが気になるようで、注射器のような形の医療器具を使うことを医師に勧められて使っています↓

傷の浅い部分はすでに歯ぐきが盛り上がってきて穴はかなりなくなっていますが、大きな穴が開いていた箇所は戻るスピードも遅く、術後1ケ月経っても穴が気になるレベルだそうです。

しびれに関してはあまり変化はないとのことですが、顔を触った時の感覚は明らかに戻ってきているとのことで(顔を触った時に感じた左右の感覚の違いはなくなってきた)、そのせいが痺れている箇所がはっきりとわかるようになってきたそうです。

誰かが言っていましたが、神経は爪のように簡単に伸びるものではないから、気長に待たなければいけないそうです。なるほど。

手術後50日

外来を受診。痺れは変化なし。

水などを飲んだ時に感じる「冷たい」という感覚が戻ってきたが、感覚がまだ完全じゃないのかそれとも馬鹿になってしまったのかは分からないが、痺れのある部分だけが過剰に冷たく感じるそう。

医師は治ってきている兆候だと言っていたが、口の中の一部分だけ異常にひんやり感じるのが気になるよう。

手術後約半年

その後、月1回の外来受診を繰り返しました。

最初の3ヶ月くらいは大きな変化はなく、「どうですか?」「まだ少し痺れています」「そうですか、もうしばらく薬を飲んでください」の繰り返しでしたが、5か月経過した頃、何となく良くなっている気がすると言い出しました。

痺れている状態がデフォルトになっているという可能性もありますが、数か月前よりは明らかに違和感は減っているいるとのこと。言われてみれば食事もいつの間にか何でも食べられるようになっていました。

手術後半年経過しても完全に元通りとはいきませんが、痺れはかなりなくなってきていると医師に伝えたところ、「薬を最後まで飲み切って、それでも違和感があるようならまた受診してください、何もなければもう来なくて結構です」という感じで、治療は半年で終了しました。

一時はどうなるのか本当に心配でしたが、人間の体ってやっぱりすごいですね。元気になって良かったです。最後までしっかりと診てくださったドクターにも感謝です。

実は私も智歯は4本とも完全に埋没していて「この歯がひょっこり顔を出して虫歯になれば、大学病院で抜かないといけない」と歯医者さんに言われたことがあるのですが、もしそうなっても痛い歯以外は抜かないでおこう思っています。

下の歯の場合はインプラントの施術でも同じような症状になることがあるそうなので、たかが抜歯の手術と軽く見ない方が良いと思います。

親知らずの難抜歯手術を受ける人のご参考になれば幸いです。

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