少し前に、たかの友梨ビユーティクリニック仙台店の従業員が、残業代が払われない等の、厳しい職場環境の改善を求めて労働組合に相談し、それが原因で、たかの社長から呼ばれて責め立てられ、その時の会話の録音データがマスコミに流れ、大きなニュースになっていました。
そのニュースを見た時、「泣き寝入りせずに会社と戦って、この従業員はすごい!!」と思いました。
しかし、このニュースを掘り下げていくうちに、たかの社長のある考えに出会いました。
「髪結い時代」からの古いやり方
それは、過去の著書から抜粋した記事でしたが、
「技術を学ぼうとする者が、残業代だの保険だのを考えること自体、疑問だ」
というものです。
「1年間、必死で働けば、一生くいっぱぐれない腕が身に付き、それが保険になる」
なるほど・・・
確かに、エステティシャンという職業は技術職です。
店を辞める日が来ても、身に付いた技術は、返すことはできませんからね。
店側としては、学校を出たばかりの素人を雇って、一人前に育て上げる訳ですから、ある程度のレベルになるまでは、残業代なんて払う必要はないと考えるのでしょう。
従業員に会社のために働いてもらっているという意識は低く、技術を教えてやっているという上から目線です。
そこは「ん?」と思うところはありますが、確かに、残業代とか保険とか生ぬるいことを言っていたら、一流の技術者にはなれないのかもしれません・・・
エステシャン以外でも、板前さんや大工さんや理美容師さんなどの、他の技術職も、労働基準法なんて無視した、過酷な労働条件のところが多いのも事実。
最近、いつも行っている美容室の美容師さんに話を聞いたのですが、たくさん支店を持つ美容室であるにも関わらず、保険も入ってくれず、自分で国民健康保険と国民年金を掛けているとか。
退職金なんてものはもちろんなし。
賞与も寸志が貰えればいい方で、社内規則的なものはなく、超いい加減なのだとか。
会社組織にはなっているけど、ぜんぜん会社じゃない…という実態。
この美容室にしろ、たかのビューティクリニックにしろ、『おしん』みたいに、大昔の「髪結いさん」の頃のやり方が、今もまかり通っている世界なのかな~という気がしました。
技術職は労働基準法にすがるべきか否か
今回は、世間の目もあり、たかの社長側が折れて、「労働基準法順守に尽くす」ということになったようですが、全ての職種を、労働基準法という同じ法律でひとくくりにすること自体、無理があるような気がしました。
最近、ブラック企業のことが話題になり、ちょっとしたことでも、すぐにブラック企業に結びつける風潮があります。
(本当に人材を駒だと考えて従業員を使い捨てるブラック企業も多数存在するようですが)
ですが、ブラック企業か否かの位置付けは、働く者の考え方というか、捉え方で変わるものなのかもしれません。
労働基準法にすがって、サラリーマン根性で働くのか、それとも、たとえ自分の時間を削ってでも、残業代なんてもらえなくても、少しでも多く経験を積んで、早く一人前になろうとするのか・・・
しかし、少子化で若者の数が減ってきて、労働力を確保するのも大変になってきている昨今、昔ながらの厳しい労働条件では、みんなすぐに辞めていくでしょう…
辛い、厳しい環境に耐えて、技術や資格を取得したとしても、10年後にはコンピューターやロボットに取って代わられる可能性だってあります…
“技術さえ身に付けておけば食いっぱぐれない神話” はこの先も続くのか!
自分の息子達を将来どんな職に就かせようか考えてしまいます。
皆さんはどう考えますか?